目指せ初SR認定シリーズ。
200km、300kmと達成して今回は400km。AJ千葉主催のぐるっと房総400に参加させていただきました。
去年の完走率は88%★★☆☆☆星2つの難易度とのことで「初めての400kmにオススメ!」なんて書かれていたのでホイホイのっかってしまう私。
千葉在住の身としてはいつかチバイチを達成してチーバくんを地図上に描きたい気持ちがあり、今回は予行練習として少しホッソリとしたチーバくんを描こうと思い挑戦します。
手賀沼公園を起点に時計回りにコースを進んで利根川→銚子→鴨川→館山→千葉市街→手賀沼へと戻るコースです。
12:00スタートなのでユックリと準備を進めてノンビリペースの自走で現地入りしようと思いました。
なぜなら追い風基調。現地までは30kmほどありますがコンディションを確認することを兼ねて良い機会。帰りも自走となりますが時間もペースも気にしなければ大丈夫でしょう(この油断が後ほど地獄を味わうことに繋がります)
スタート前
自宅から利根川まで出ると手賀沼に向かい西へ向かいます。すると予報どうり追い風が背中を押してくれて快適に進みます。ペダルに足を乗せているだけで30km巡航が可能なくらい快適です。
…ということはこの道を逆に銚子へ向かう際には、この快適なあ風が牙を向き前から押してくることになる…ということを想像しながら苦笑い。
雨という予報も覚悟してましたが青空が広がりありがたい限りでした。
どの天気ニュースを見ても14:00〜17:00まで雨が降る予報。
上から羽織るものなどはフロントバッグからすぐに準備できるのでシューズカバーだけは履いておくことにします。初めて履きますが破けないように慎重に気をつけました。
素肌が出ているところは防寒と雨対策にレインジェルを塗っておきます。
こちらも初めてですが塗った瞬間からほんわか温かい。どこまで雨を弾いてくれるか楽しみでした。
向かい風の中、延々と利根川沿いを走ります。
銚子に着くまでは向かい風と覚悟していたので心は折れずに保てましたが、しかし先ほどの青空はどこかに今にも降り出しそうな雲行き。陽射しが出ないとまだ肌寒いのです。
川沿いに群がる牛たちにちょっと焦って思わずパシャリ。
向かってこられたらどうしよう…とも考えましたが、逃げ出さないようにちゃんと地面に杭で繋がれている…はずです。
およそ62km地点のPC1ファミリーマート稲敷西代店に到着。向かい風でもなるべく踏まないように進んでいたつもりでしたが、だいぶエネルギーを消耗していたようですでにお腹の減りを感じます。
今日は過去最長の400kmオーバー…体力温存と省エネが最重要課題となるので早めにちゃんと補給します。
ボトルは半分くらいしか減っていませんでしたが、500mlを購入して補充。余った分は強制的に給水するようにします。
気になっていた【カレーメシ】初めて食べましたがコレは美味しいですね!【どんぎつねおむすび】もいなり寿司とは違ってまた食べたい味です。
いよいよ雲行きが怪しくなってきました。
冷たい風とともにポツポツ感じるくらいです。
ザッと降ってこられても困るので先にレインウェアをまといGPSとヘルメットにもカバーをかけておきます。
空気抵抗は増しますが、濡れて体温が奪われることが後半へのダメージにつながるという判断から早めの対策を施します。
GPSに関しては過保護かもしれませんが、超ブルベストの方々から雨天走行でのサイコン被害報告を聞いていたので予防措置として実践します。
これで高額のサイコンが故障から守られるのであれば安いものですからね。
ヘルメットにはシャワーキャップ作戦。
こちらは輪友の@Rringさんからのご教授いただきました。レインウェアにフードがなく頭皮を濡らさない手段には最適です。
夜通し走る際の防寒にも役立ってくれました。
@Rringさんありがとうございました。
降る降る詐欺と言われるような天気、そして向かい風区間を終えて快適に銚子へと向かう中で足の合いそうな方々が後方から追い上げてきて合流させていただくことに。
今日初めて後ろにつかせていただいたが涙が出るほどラク!
だいぶ海の香りが強くなり銚子大橋付近に差し掛かったところで私のGarmin先生からの警笛。私独自のチェックポイント90km地点の①クレープ自動販売機だ。
トレインからはずれて自販機前にストップ。
先ゆく方々が不思議そうに見つめる中、河口を眺めがらカツレツクレープを頬張るワタシ。これで夕飯までの補給は完了。
結局本降りにはならないじゃないか。よしよし、いいぞ!
95kmPC2セブン銚子犬吠埼店に到着。
チェックのレシートを捨ててしまったり後ろを走る銚子電鉄の写真を撮り忘れたりと、クレープで満足したのかボケボケしてました。
いや、それよりも陽も沈んで雨が降らないと判断してレインウェアから夜装備に換装する忙しさがあったかもしれません。
ここでシューズカバーを外してレッグカバーと防寒のためのレインジャケットを羽織ります。
ここから銚子で有名なアップダウンを繰り返すドーバーラインを進みます。
ここで天気予報ど的中!
ポツポツ模様から一気にドシャ降りの大雨に遭います。
たまらずレインウェアの一つ防水ソックスと防水手袋を装備。
前方視界も不安な中、ひたすらアップダウンを繰り返して進みます。
正直にいうと登り勾配は苦ではありませんが雨のダメージがひどい…
レインウェアの甲斐なく内側のベースレイヤーにまで浸透してきました。
先ほどまでの向かい風が進行方向も変わりここから追い風基調で背中を押してくれているはずなんですが、急激な気温の低下が著しく体温まで奪われてきます。
しかし家族に現在地と安否確認の報告をしなければならない。
飯岡地点でパシャリ。
だいぶ陽も暮れてきました。
現地点で114km、残り290kmか…ずぶ濡れのウェア、急激に感じる気温低下…「予報では雹が降るらしいのでお気をつけて…」なんて出発前の言葉を思い出し、こんな状態で本当に走り切れるのか?そんな不安が頭をよぎります。
ゴリゴリと前を進んでいく方の後ろに必死に食いつきますが「ヤバい…」低体温で手が震えてきました。
スタート前に塗ったレインジェルの効果も及ばず寒さで心が折れかけてきます…
DNF…そんな言葉が頭によぎります。
「いや、ちょっと待てよ…制限時間は明日の夕方まである…つまり残り20時間もある。これは先を急がなくても休めばいいんじゃないか?」
信号待ちの左に煌々と輝くコインランドリーを見つめながら考えました。
- 服が乾く
- 予報だともう少しで雨も上がる
- 補給ができる
- 身体も回復できる
コインランドリー作戦使わない手はないぞ!
お邪魔します!
コインランドリー作戦
九十九里海岸線はサーフィンを楽しむ方が多いからなのかコインランドリーが多いので助かりました。
幸い店内には人の気配はなく回っているランドリーは1台だけ。
暖房の効いた明るい店内で生きている実感を取り戻すような心境。
濡れている衣類、乾燥できるもの手袋から靴下まで乾燥機に投げ入れます。
公序良俗違反となってしまうのでビブショーツは脱げないこととダウンベストだけは濡れずに無事だったので、全くもってワイルドではないガリガリのスギちゃんみたいな格好で乾燥を待ちます。
店内は暖房が効いているとはいえ低体温で震えが止まらない。熱産生でお腹が減る。ホットドリンクを購入してホットマッサージをしながら補給しながら心身を休めました。
電子機器もこのタイミングで充電。
衣類を纏うと暖かく身体も乾き良い休憩となりました。例えるならば風呂上がりのようなサッパリした気分です。冷たい雨も上がりリスタート。超ウェットは残りますが先ほどの絶望的な気分から一転、夜間走行を楽しもうという前向きな気持ちになりました。
コインランドリー様、ありがとうございました。
20:00、めがけていた夕食ポイントまで50kmはある。21:30という閉店時間は過ぎてしまう。予定とは違うがコンビニのブルベ飯ではなく腰を落ち着かせて温かい食事をしたい。
居酒屋は多数あるが少し違う…などと選り好みしていたら閑散としてきた。
このままではどこの店も閉まってしまう。と老舗町中華らしき看板を発見!
この川島食堂さんが大当たりだった!
腹も満たして追い風に乗り南下。一気に鴨川まで走ります。
房総の海岸沿いは静かで幻想的で、つい写真に収めたくなるような景色です。
こんな景色が続くのですが行川を過ぎたあたりで通過したトンネル付近から『なんだかとてもイヤな感じ』を覚えて全ライトをフルパワーにして進みました。
千葉の房総エリアは塹壕などもあり独特の雰囲気があるのでそのせいかと思うようにしていましたが、どうやらそれだけではなく『おせんころがし』という知る人ぞ知る正真正銘の心霊スポットとして有名な場所だったみたいです。
1952年(昭和27年)に一家3人の殺人事件であるおせんころがし殺人事件(現場は小湊町内)が発生し、被害者がこの崖から投げ落とされた。なおこの時までに、内陸をトンネルで貫き、ショートカットする新道が完成していた。
名称の由来
昔、この崖の近くの豪族・古仙家(こせんけ)にいた、おせん(お仙)という一人娘が名称の由来とされている。お仙は、村人を苦しめる強欲非道な父親を改心させようとしたが、改心は無理と悟り、この崖から身を投げたといわれている[3]。具体的には、豊作に託つけて年貢の取り分を増やそうとした強欲な領主(お仙の父親)に激怒した村人たちが領主殺害を決意し、父を諌めることに失敗したお仙が、やむなく父の服を着て成りすまし、夜襲をかけた村人達に崖から投げおとされた。朝になって崖下を確認した村人達は、自分達が投げおとしたのが実はお仙だったと知り嘆き悲しんだ、という悲話である
wikipedia参照
断崖絶壁でキレイなのですが、なんとなく停まってはいけないように感じて写真を撮る気にはなれなかったのは直感的な何かが働いたからなのかもしれません。
昼間にみる景色は絶景と聞いているので見てみたい気はしますが、夜は二度と走りたくはありません…
夜明け
4:00過ぎに館山を通過。当初の予定では4:30までこの近くのキャンプ施設の屋根の下で仮眠をするべく枕とエマージェンシーカバーを持参してきたのですが、先ほどのコインランドリーでの休憩時間を割いてしまったので今日は仮眠アイテムの出番はなさそうです。
そもそも雨上がりということと急激な気温低下で屋外では仮眠はおろか休憩も難しそうでしたので先に進ことにしました。
この時点でスタートから16時間が経過していました。
日の出とともに気温も上昇してきますが、それと同時に眠気と怠さが襲いかかります。
こうなってくると
- 暑いのか
- 寒いのか
- 眠いのか
- 腹減ったのか
- 疲れたのか
もう何がなんの感覚なのかわからなくなってきていました。
しかし朦朧とする意識の中で私の足を進める確固たる動機があります。
それは早いところ鹿野山をクリアしてスープパスタを食べたい!
今回の鹿野山林道は初めて走るルートでした。
秋元口のような斜度もあるのではないかとドキドキしていましたが比較的緩やかな勾配が続く景色の良い道でした。が枝や水溜まり、泥のあるグラベル区間でしたね。
鹿野山を下るとお目当てのスープパスタ専門店に到着です。
スープパスタでしっかりと水分、塩分チャージして残り100km。市原を通り千葉市街を抜けます。
ここでまたしても風が出てきます。往路が向かい風だったので復路は追い風…ではなく、またしても向かい風。
そして千葉市街地は信号のオンパレードで繰り返すストップ&ゴーが疲れた脚に疲労を重ねます。
そして飛び出す歩行者やルール無視の自転車に「早く帰ろう」という気持ちが完全に折れてしまい、アイスを頬張り休憩することにしました。
最後のPCでレッドブルを補給してゴールまでの30kmを頑張ります。
私の知る限り、ほぼ平坦でゴール地点まで戻れるはずなのですが…まぁ登らせること。手賀沼までの帰路で上手に細かい坂をいくつも織り込んできていました。
そして手賀沼のひらけた道へ出ると猛烈な向かい風。
沼の反対側にゴールが見えますが、グルッと大きく回り橋を渡って無事にゴール。
ブルベの先輩方が言う「400kmが最もツラい…」「400km走るなら600kmのほうがラク…」という意味がよくわかりました。
眠い!
600kmの場合は制限時間が40時間ありペースによっては十分に睡眠して回復できる時間を確保することができそうですが、400kmの場合は制限時間が27時間。今回のように1時間少々しか仮眠する余裕がなかったので、トラブルや何かが起きた場合が過酷となります。
私も次回からは400kmを走るのならば600kmを選択するかもしれません。
ゴール後の自宅までの帰路は陽射しが心地良く草むらで仮眠したい気持ちが強かったですが、暗くなるまで意識を失う自信があったので、眠気でフラフラしながらも頑張って帰還しました。
数日は右膝が曲げられなくなるほど激痛を生じ、一日中走り通した影響で体内時計が乱れ時差ボケのように眠気に襲われてました。
自転車という身体に良い運動をしているはずなのに「これ絶対に身体によくない…」と思ってしまう過酷さ。
完走率は全体の50%ほどだったとのことで、天候を加味すると今回は★★★★☆星4つくらいのハードさだったのではないかと私は感じました。
しかし強風から始まり大雨、冷え込み、そして強風に終わった過酷な長距離をクリアしたんだ!という大きな達成感を強く感じるイベントでした。
AJ千葉運営スタッフの皆様、ご一緒させていただいた皆様、ありがとうございました。
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